設計データを製造業者と共有するときは、確実な保証がなくてもうまくいくことを信じるしかありません。完全で正確なデータパッケージを製造業者に送ることができたら、工場から基板が戻ってくるのを待つしかありません。データパッケージを一式送るには、製造ファイルを圧縮フォルダーに入れるだけの簡単なことに感じます。しかし、製造業者にプロジェクトを理解させ、すべての設計データにアクセスできるようにするには、もっと良い方法があります。
Altium Designerのユーザーであれば、リリースデータを作成し、製造業者向けの完全パッケージにする際に利用できる複数のオプションがあります。製造業者または設計者であれば、Altium 365プラットフォームを使ってプロジェクトデータや製造ファイルをパッケージ、リリース、アクセスする複数の方法があります。一方、Altium 365を初めてご利用になる場合、どのオプションがご自身のニーズに最適かが明らかではないかもしれません。この記事では、これらのオプションと、プロジェクトデータを製造業者、共同作業者、または顧客にリリースするに当たり、それぞれどのような場合に使用するのが最適かをご紹介します。
Altium DesignerとAltium 365エコシステムでは、共同作業で製造を行うにあたって、設計図を簡単に作成する3つの方法があります。Altium Designerユーザーは、さまざまな標準的成果物を素早く生成するのに使用できるOutJobファイルについてよくご存知かもしれません。生成されたこれらのファイルは、ローカルマシンのプロジェクトフォルダーに保管されます。これらのファイルとプロジェクトデータをZIPフォルダに圧縮して、メーカーにメールで送ることができます。
Altium OutJobファイルは、製造ファイルを素早く生成するための業界最高のツールですが、これらのファイルを電子メールで送信し、あるいはDropboxのようなサイトを使用して共有することは時代遅れです。Altium 365では、このような古いやり方ではなく、Altium Designerからアクセスできる安全なクラウドプラットフォームにアクセスできるようにすることで、設計データの共有をさらに容易にしています。
Altium Designerには、Altium 365を使って製造データを作成、共有するための3つのオプションがあります。これらはすべて、データをパッケージ化してAltium 365 Workspaceから共有するための簡単な方法を提供しています。また、電子メールやサードパーティのクラウドサービスを介して共有することもできます。
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OutJobファイルは、製造の準備や設計図を共有するために最初に使うツールです。プロジェクトパッケージャーとプロジェクトリリーサーは、製造ファイルを作成した後、データを共同作業者と共有するための2つの方法を提供するものです。これらの機能をどのような場合に使用するのかを詳しく見てみましょう。
プロジェクトパッケージャー機能 は、プロジェクト、プロジェクトツリー、またはプロジェクトグループ内のすべてのものを取り込んで、共有可能なZIPファイルに圧縮します。これには、プロジェクト内のすべての製造ファイルとOutJobファイルが含まれます。誰かがこのZIPファイルを受け取ると、すぐにプロジェクトを開くことができ、プロジェクト内のすべての依存関係を確認できます。プロジェクトをローカルドライブやネットワーク接続型ストレージ(NAS)にバックアップしたり、独自のファイル共有システムで共有したりするのに便利です。プロジェクトパッケージャーは、ローカルに保存されたプロジェクト、または Altium 365 Workspaceに保存されたプロジェクトで使用できます。
プロジェクトパッケージャー機能を使用する欠点は、生成されたパッケージがバージョン管理システムの対象とならないことです。パッケージ化されたZIPファイルをメールで誰かに送ってしまうと、そのファイルに変更を加えても、メインプロジェクトには反映されません。このため、パッケージ化されたZIPファイルは、顧客や製造業者、設計者に進捗状況を示すのには適していますが、共同設計プロセスの中で使用することはできません。
ZIPファイルを送る代わりに、Altium 365を使ってプロジェクトを管理し、設計データをバージョン管理システム内で保管することができます。これにより、リビジョントラッキングが可能になり、プロジェクトに参加している全員が同じ設計図で作業することができます。設計図が製造業者に送れる段階になったら、プロジェクトリリーサー機能で製造業者に設計図へのアクセス権を付与し、製造に入る前に修正を加えることができます。
プロジェクトリリーサー機能を使用すれば、製造業者との連携を開始し、特定の設計図へのアクセス権を付与することができます。この機能により、Altium Designerでプロジェクトを作成したり、Altium 365 Workspaceでデータをパッケージ化し、他の設計者、顧客、または製造業者と共有したりすることができます。
プロジェクトリリーサー機能を使用するには、「Projects Panel」の「Make Available Online(プロジェクトをオンラインでアクセスできるようにする)」コマンドを使用して、Altium 365 Workspaceで設計図を保管する必要があります。Workspaceに設計図を保管したら、プロジェクトリリーサー機能にアクセスして、共同作業者に公開するデータを決めることができます。下の例のように、プロジェクトの製造データを公開することもできます。
このプロジェクトリリーサー機能は、既存のAltium OutJobファイルを使用して、製造ファイルや実装ファイルをAltium 365 Workspaceにプッシュします。ローカルでファイルを作成した場合と同じ設定および形式になりますが、バージョン管理システムにコミットされ、レビジョンの追跡やアクセスの制御が可能になります。プロジェクトがWorkspaceにリリースされると、共同作業者と即座にデータを共有することができ、共同作業者はAltium 365 Workspaceにリリースされたデータにウェブブラウザから簡単にアクセスできます。
チームや製造業者がプロジェクトにアクセスできる限り、Altium Designerでプロジェクトを開き、必要な変更を適用し、プロジェクトに関する新しいリリースを作成することができます。PCB設計レビューなど、新しいリリースが作成されると、各リリースはウェブブラウザを使い、Altium 365 Workspaceから閲覧することが可能になります。これは関係者が協力してプロジェクトに取り組み、安全な環境で設計工程から製造工程にシフトできる素晴らしい方法です。すべてはAltium Designerの中で行われます。
プロジェクトリリースを作成し、製造工程に入る準備ができたら、設計図を製造業者のメールアドレスにプッシュすることができます。Altium Workspaceでプロジェクトを開き、「Manufacturing」メニューから「Send to Manufacturer(製造業者に送信)」ボタンをクリックします。製造ファイルや実装ファイルをすべて含んだプロジェクトファイルをリリースした場合、これらは製造業者に送るパッケージに含まれます。設計図にアクセスするためのリンクが記載されたメールが送信され、そこから、パッケージをダウンロードまたは開封することができます。
設計データを管理し、Altium OutJobファイルの機能を拡張する準備ができたら、Altium 365®プラットフォームを使用して、安全なクラウドプラットフォームでPCB設計プロジェクトを共有、保存、管理してください。Altium 365はPCB設計に特化した唯一のクラウドコラボレーションプラットフォームで、Altium 365のすべての機能は、Altium Designer®の世界トップクラスの設計ツールと統合されています。
ここでは、Altium 365とAltium Designerでできることについて、その一部を紹介したに過ぎません。より詳細な機能の説明については、製品ページまたはオンデマンドのWebセミナーをご覧ください。